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今月の一言


 海辺に近い砂地が続く一角に、小さな寺院がある。
 本堂の床は高いが、庫裡は、一般住宅と同様の床の高さだ。砂地だから一見水ハケが良いように見えるが、少し掘ると水たまりができるくらい、ジメジメしている。よって庫裡の床は蒸けてカビ臭く、所々床が抜けている。
 何回か床を取り替えるうちに、床下に扇風機を取り付けることにした。扇風機を回し、床下の湿気を外に出そうというのである。
 ところが、それもむずかしい。土台基礎のコンクリートが迷路のようになっていて湿気が抜けにくく、多くの扇風機が必要のようだ。しかし、これまた多くの扇風機を取り付けると、今度は湿気が抜けるどころか、返って止まってしまい、余計湿気が動かなくなる。
 空気は、吸い込み口があると共に、吐き出し口があって流れる。吸い込むばかりでも、吐き出すばかりでも、湿気は動かない。
建築屋の説明を聞いていた、そのお寺の世話人さん。突然、何を考えたか、
 「そうなんだ!吸い込むばかりでなく、吐き出さないといけないんだ。」と言って飛んで行ってしまった。
 「風が吹く」という。動いていれば、モノは腐らない。しかしモノを変えていかないと野菜はシナル。新鮮さは無くなる。風が吹くと同時に、適度に意識を変革していかないと、モノは腐らないが野菜は萎びて、食べられなくなる。気をつけよう。


  

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